旅 

 当分載せない積もりでいたのが、誰か(思い当たる人いるでしょう)が、社長に何かを言ったもんで、又お鉢が回ってきた。

 こうなったら、中身が無いの・駄文で恥ずかしいのと言ってられない。諦めの境地でエイヤーだ!

 先日、出かけようと予定していたら、隣家のご主人が亡くなり出かけられなくなってこの題を思いついた。 今回予定していたのは「白馬」だった。白馬は何度も行っている、昨年も行った。ところが私はよく覚えていない。メンバーは、女房の母と女房と私である。

女房はこのメンバーをゴールデントリオと言っている。私がよく出かけるのは、気のおけない5人組とこの2人組であるが、女房はよく出かける。出かける仲間への言い訳と私をその気にさせるために思いついたらしい。

旅なんてのはボケッとして、キョロキョロして、安い料金で適度な量の食事をして、宿でよく寝て、風呂に何度も入っていれば良いと言うのが私の思いであるが、このトリオで行くとそうはいかない。

 前に来た時はこうだった、ああだったねーと二人から同意を求められる。もっとも母は私の様子から「こやつはバカじゃないか、よく覚えていないぞ」と気付いているらしいが、女房は他に同意を求める相手がいないからしつこく来る。

 こうなるとボケーとしていられない、スグ非難の声が飛んでくる。
あー、旅とはなんぞや、気分転換・英気を養う機会ではないのか。
あー、それでも私は旅に行く。なぜか。答は母にある・・・・・・・・・・・。

 話変わって、隣のご主人は無類の酒好きで、肝臓の病が原因で64歳であった。短期間に村から町、町から市となった田舎でも、私は過去20数年の間会って話をしたのは3度程である。そのうち2度程「酒を飲めればねー」と言われたものであった。

 航空機のエンジン整備に情熱を傾けこれからは後進の指導にあたりながら、旅をしようと奥さんに言っていたとも聞いた。

 世間には「行き交う人もまた旅人なり」との名文もあるが、この旅はわびしい気がするし、人生を旅にたとえることもあるが、この旅は心にゆとりがある時のものだと思う。
  あーを連発する旅であっても、凡人の私はこっちの旅がいい。
                       (原稿受理06.5.1) 海宝陽二

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